高尾の豆知識 


  

8-1.サウンドスケープ


 「サウンドスケープ」は、「音の風景」と訳され一九六〇年代末にカナダの作曲家マリー・シェーファーが提唱した概念。視覚的な環境情報が優先される現代にあって、音や雰囲気といった形にならない要素を含めて環境を五感でとらえようという発想が根底にあります。
音の世界にも景風や景色があるという前提の元、世界的に使われています。 音楽も譜面の中ではただの音符ですが、演奏され、音となって空気の中に出た時、はじめてサウンドスケープの一部となるのです。

 「サウンドスケープ(音の風景)」という考え方を、都市や地域研究、まちづくりに反映させようと精力的に活動している人がいる。聖心女子大学教授の鳥越けい子さん(50)。

 東京新聞によれば・・・・

 昨年十月、鳥越さんは東京地裁八王子支部でサウンドスケープの専門家として証言台に立った。高尾山にトンネルを掘り圏央道を通そうとする国や日本道路公団(当時。今年十月に民営化)を相手取り、自然保護団体が起こした「高尾山天狗(てんぐ)裁判」の法廷である。

 鳥越さんは、韓国ソウルのシンボル的存在である清渓川(チョンゲチョン)復元工事の事例を紹介した。交通量の増加で、清渓川は蓋(ふた)で覆われて道路が生まれ、その上にも道路が建設された。しかし、二〇〇二年以降、川の復元工事が進められ、高架道路も撤去された。周辺は太陽の光を浴びて明るくなり、音も含めた景観が回復した。「環境と人間が共生する都市のありかたを優先した新市長の公約でした。時代の価値観は変わっているのです」

 そして高尾山。霊山として有名で、数多くの動植物も生息する自然の宝庫は、都心から電車で一時間の至近距離にあり、東京人にとって“ふるさとの山”。「工学的に環境基準以下ならば騒音ではないというのが従来の発想。

しかし、何が騒音かは地域の文化によって異なるというのが、音の風景の基本的な考え方です。高尾山の厳粛な雰囲気を損なうことは、環境重視を唱える日本政府の姿勢そのものが問われることになります」

 都市の音環境や日本各地の音文化の調査研究を行い、環境保全やまちづくりへの提言も積極的に行っている鳥越さん。その視点は幅広く、ダイナミックである。




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