・山歩きのベストシーズン
・登山口までの交通手段
・体力別のコース選定
・出発前の体調管理
出発前の体調管理
若い年代での登山事故の原因には滑落・転落があり、その背景に睡眠不足と強行軍が多いといわれます。
言うなれば「若さ」ゆえの強行軍ですね。
ところが一方、中高年の場合は、その原因は何と言ってもトレーニング不足による低い体力です。
○メディカルチェック!
専門家は、中高年も近場でウォーキング程度ならともかく、低山とはいえ、それなりの山に登るなら、まずメディカルチェックをすることを求めています。
よくランニング大会の参加者がレース中やゴール後に急死したという報道を見聞きしますよね。
同様に、近年、中高年登山者が急増し、登山中の突然死が問題となっているのです。
スポーツによる突然死の80〜90%は心臓血管系の障害で、なかでも中高年においては冠状動脈の狭窄が原因で起きる心筋梗塞や不整脈がその80%を占めるといいます。
メデイカルチェックの目的は、登山によって生じる障害や、潜在性の健康を阻害する因子をチェックすることです。
また、登山中は自然の脅威に直接さられれる訳ですから、持病を持つ人は特に注意するべきです。
特に相応の標高の山では、高山病の症状(頭痛、息切れ、運動能力の低下など)が現れます。
中高年登山者の方で、高血圧等の持病のある方が、高山病にかかり登山中に倒れたり、行動不能となるケースが目立っているようです。
高血圧にかかわらず中高年の場合は登山で体力を消耗することにより、内在している疾患が現れたり、致命的な合併症を起こす危険があるということです。
高山によらず、通常の山歩き程度でも、心筋梗塞や脳出血、急性心不全などを起こして突然死しているケースは少なくありません。
これらを防ぐためにも、登山前には一度、心電図検査などを含むメディカルチェックを受けておく必要があるといえます。
ましてや従来より持病を持っているのであれば、入山前に病院等で診察を受けるか医師に相談する等、特に中高年の方は登山の際には体調管理を万全にするべきです。
また、中高年で自覚症状のある方はもちろんですが、家族や親類に心臓血管系の病気、あるいは生活習慣病を持っている方はぜひ受けておくことをおすすめします。
リスクのある者が、何の身体的準備もなしに登山をするのは無謀としかいいようがありません。
○シーズン前の体調管理
また、専門家は最低でも週2、3回は1時間程度の速足歩きをしてほしいと言っています。それも脈拍100-140/分を維持するというのですから、実はかなりハードなものです。
ところで、最近おもしろいと思われたのは、ステッパーと呼ばれる運動用具です。山に行くことを計画しているのであれば、負荷調節付ステップマシン(1万円程度)を毎日20分ほど踏むのもいいかもしれません。
山の登りでは平坦な道の何倍も体力を消耗します。ふだん階段も昇らない生活をしていると足が上がらず、すぐに足がガクガクになって歩けなくなるし、膝を痛めやすく、下りで歩行不能となる中高年も多いからです。