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山歩きの基本
山を歩くとわかりますが、「登山道」と名のつくものでも、本当に危険なところもたくさんあります。登山道さえ歩いていれば安全であると決して思ってはいけません。
登山道で安全を保つには、自らの経験、技術体力が必要なのです。
崩落、雪崩、倒木、いろいろな自然お変化によって、荒廃、ルートの変更が常に生じていると思ったほうがいいでしょう。
最新の情報を手に入れるよう努力した方が良いでしょう。また、場所によっては、登山道と紛らわしいもの、即ち、林道、伐採道、送電線保守路、などもありますし、「けもの道」などもあります。
疲れない歩き方
ハイキングのように長い距離を歩く為には、正しい(疲れない)歩き方が大切になります。ちょっとしたコツをつかむだけで、長時間の歩行も可能になります。
特に、重いザックを背負って山道を歩く場合は、当然、それなりの歩き方のコツがあります。手ぶらで舗装された街路を歩くときのように無防備な歩き方では、石に躓いたり、木の根やぬかるみに足をとられたて転んだりしてしまいます。
第一、重い荷物を背負っているので、それなりの歩き方をしないと疲れてしまいます。
山歩きのフォーム
まず、自分のフォームをチェックしてみましょう。歩き方にも、ひとそれぞれのフォームがあるはずです。
しかし、不自然な歩き方は、やはり余計な負担をかけていると思ってみてよいでしょう。
山歩きは歩幅を小さく
山歩きはこう配が急になるほど歩幅を小さく登るのが基本です。山を歩く場合はアップダウンを繰り返す場合が多く、とくに斜面を登る場合では、歩幅を大きくとっているとそれだけ1モーションでの運動量が大きくて疲れてしまいます。
歩幅は、大きいほど前後の足の高低差が大きくなり体を持ち上げるエネルギーが大きくなりバテにもつながります。
また、足元には石が転がっていたり、ぬかるんでいたりしてスリップしやすく、そん
なときに歩幅を大きく取っていると、咄嗟の対応が難しくて転倒しやすくなります。
息を切らさずにゆっくり登れば、かなりの急坂もこなせるはずです。
また、常にに一定のペースで歩くことも大切です。正しいペース配分で歩く、つまり、急なところではゆっくりと、なだらかなところでは速めに。
山を歩くときは、先ほども述べたとおり、歩幅を小さくとり、かかとをしっかりつけて歩くことがポイントです。かかとで歩くことによって、足底全体を地面に接地することができます。
地面に着地することでスリップの虞も小さくなります。 低山でも、沢、ガレ場、岩場、鎖場、急斜面等の様々な場所が経験できる場所がたくさんあります。
バランスのとり方、足の降ろし方等、その場の状況にあった歩き方を実際に歩くことで学ぶことが出来ます。
斜面の歩き方
登山道は滑ったり、崩れたり、落ち葉の下に木の根が隠れていたりいろいろの変化があるものです。
従って、予想もしないところ、突然滑ったり、つまずいたり、足首が返ったりして、バランスを失うことは、よく起こり得ることです。
その変化に対応するためには、身体の各関節を硬直させることなく、柔軟に構えておく必要があります。足先は「逆ハの字」に置くことが、変化に即応できるし傾斜に対して、足首関節の曲げ角度を緩められるので楽です。
斜面では、歩幅を短く、ゆっくりとしたペースで歩くのが基本です。登りでも下りでも、フラットな路面を普通に歩くときの半分ほどの歩幅で、肌にうっすらと汗をかく程度のペースが目安です。
のぼりでは、片足でしっかり立ち、踏み出した足に体重を移動させる。このとき、腰を前に出し前かがみにならないよう注意する。
重心はつねに体重を乗せた足の上に置く。
くだりでは、片足でしっかり立ち、踏み出す。ひざを柔らかく曲げて重心を移す。腰を前に出してへっぴり腰にならないように注意する。
踏み出した足に体重が乗り、次の足が出る。斜面で意識せずに歩く時、登りはつま先比重、下りはかかと着地になりがちですが、これではスリップしやすく危険です。
地面に足全体で平行に着地するには、登りではかかとから、下りではつま先から踏み込むようにすると足裏全体でフラットに足を運ぶことができます。
目線はあまり先の方を見ず、足元から少し先あたりを見て歩きます。これは、足場を確認しながら歩くためと、疲れないためです。なかなか目的地に近づかないと疲れますので、足元を見ていて、たまに遠くを見ると良いでしょう。
重心は山では一歩ずつ踏みしめていくため片足の上に乗せます。一直線上に体の軸を置くことで、安定したバランスを保つことができます。
曲がりくねった道を歩くときは、カーブの内径を歩きましょう。細い山道では、そう気にすることはありませんが、巾のある林道、車道、ジグザグの折り返し点などでは、カーブの内径を歩くのと外経を歩くのでは、積もり積もると、かなり大きな距離の差が出来てしまうものです。
ガレ場の歩き方
ガレ場の斜面を歩く際には、浮き石を踏んだり、落石をおこさないように注意することが大切です。
浮き石とは、岩のエッジに引っかかったり緩い地盤に不安定に載っている石のことで、不用意に足を載せると石ごと滑り落ちたり、あるいは落石を誘発する原因となってしまいます。
ガレ場で、浮石を踏まないコツは、よく足場を見極め、踏みだした足には一気に体重をのせないで、ゆっくり重心移動するようにすることです。
落石についての注意
雪渓や岩壁の下、ガレ場では落石に注意、特に雪渓や草付きの落石は音がしないので、雨具やヤッケ着用時は最大の注意を払う事。
あやまって落石をおこしたときは、急いで下にいる人に向かって叫び、危険を知らせましょう。登山では、そんな場合「ロック!!」あるいは、「ラクーッ」と大声で叫び周囲に知らせることを守りましょう。
岩場の歩き方
低山歩きでも、中には岩場がコースのなかに含まれていることはよくあります。目の前にいきなり岩場があらわれ、そこにクサリがついているとやはり緊張します。しかし、靴が半分のる足場があれば比較的スムーズに登ることができます。
靴が3分の1以下しかのらない足場では、足を逆八の字に開いて足の親指の内側で立つと安定します。
岩場にクサリがついていると両手で体全体を引き上げている人がいますが、クサリはあくまでも補助と考え、できるだけクサリは使わず両手、両足で登ります。
鉄のクサリといっても長年の酷使で不安定になっていることもあります。完全にクサリに身を任すのは避けましょう。
どうしてもクサリが必要な場合は片手で軽く持って、できるだけ足の力をつかって歩くように登るのが上手に登るコツです。
また、前の人が通過するまで待つように。岩場の下りでは体を横向きにして、下の足場を見ながら下ります。
重心は足の裏にしっかりとかけ、クサリがある場合は片手で軽く持ち、もう一方で岩の手がかりをつかんで下ります。
下りの場合、急傾斜だとどうしても岩に対面する形(登りと同じ体勢)をとりたくなるものですが、これはよほどの場合を除いて避けたほうがいいでしょう。この態勢では、足元の視界が悪くなり、最適なホールドがさがしにくくなってしまうのです。
逆に岩に背を向けても、恐がってへっぴり腰になってしまうと、これも、靴底のフリクションを失って滑落しやすくなります。
下りでは、大胆に両足に重心をかけ、気分的には前のめりくらいの態勢をとるのがコツです。「大胆かつ慎重i」、それが岩場歩きのコツと覚えておくといいでしょう。
登り優先
他のハイカー・登山者とのすれ違いは「登り優先」の原則を忘れないようにしましょう。これをなんだかただのルールのように捉えている方が多くいます。
しかしこれには立派な理由があります。つまり、下りの人は視界がきくが、登りの人は視野が狭くなるためです。
しかしながら、状況に応じて登りの人が退避したほうが安全な場合もあるのでそこは臨機応変に!
適切な休憩
そして適切な休憩を取りましょう。休憩をとる間隔に関しては、ケースバイケースです。30分歩いたら3分休む。
目安としては歩いた時間の1割休憩。大いに疲れたからといって、休憩を多くとっても実は疲れは取れません。大休止は余計に疲れるので注意しましょう。
パーティでのハイキングの場合は、パーティ構成メンバーの実力、コースの緩急、地形、気温などを勘案して30分から1時間の間で休憩をとるのが良いでしょう。
最後尾の人や、途中に位置している経験者に、休憩の必要性を見ておいてもらって、声をかけてもらうのも良いでしょう。
疲労というのは、加速度的に来ますから、要はバテる前に休ませることがポイントです。山登りの所要時間はペースの速さで決まるのでは有りません。
「休憩時間の長短」で決まるものだと考えてよいでしょう。いくら速いペースで歩いても、1ピッチで10分、20分早めるのは大変なことです。
ところが休憩していると10分、20分はたちまち過ぎてしまいます。歩いている時は20分、30分は長く感じますが、休憩していると時間はたちまち過ぎてしまいます。途中の小休止は5分間までと思った方が良いでしょう。
水分の補給
水分・栄養補給を適切に行いましょう。水分と行動食は意識的にとること。喉が渇いてからでは遅いので早めの補給が肝心です。
人間は、その65%が水分で1〜2%損失すると行動力の低下するといわれています。行動中は休息の度に少しずつとるようにしましょう。登山行動の1日の必要水分は2〜3リットルで寝る前、出発前、途中の水場で補給することが大事。
人体の水分は、汗をかかなくても呼気中から、また皮膚表面からどんどんと出てゆきます。1日1.2gの水分を放出していると言います。
まして、登山の場合、過激な運動ですし、汗も大量にかきますから、水分を充分に補給して、水分バランスを保ってやることが大切です。
休憩の都度、出た汗を上回る分の水分をこまめに補給すること、また、その水分もなるべく電解質を含んだ(例えばポカリスウェットなどのようなスポーツ飲料)ものの方が良いと思います。
スポーツ飲料などを水で倍に薄めたものが一番よいと言われております。
水分欠乏は、時として命取りとなります。人間は、暑い日は1〜3リットルの汗をかくと言われており、脱水状態になると、発汗が少なくなり体温の上昇だけでなく、血液循環も悪くなり疲れの原因となります。
さらに尿量が減ると膀胱炎も起こしやすくなります。汗によって水分が消失すると、血液が濃くなり、血流が悪くなって様々な障害を引き起こします。
いわゆる脱水症状と呼ばれるもので、虚脱感や局部的な痙攣などの前駆症状からはじまり、吐き気、発熱、歩行困難、全身痙攣、ついには死に至る場合もあります。
中高年ですと脳梗塞、心筋梗塞などの大変危険な可能性を引き起こします。
水分が胃から吸収されるには30分以上かかるので、脱水状態になってから水分をあわてて補給しても遅く、進んだ症状を改善するためには、さらに多くの時間がかかります。
山歩きと平地での歩く時間のずれ(コースタイムの目安)
1キロ先で300メートルを登るという勾配(30%勾配、約17度)の場合、1時間で登ると仮定してみると「時速一キロ」が登山道の歩行スピードということになる。ちなみに平地の道なら1時間で約4kmというところでしょうか。
登山地図・ガイドブックによりコースタイムは異なりますし、食事や休憩時間は含みません。また、そのときの体調によって変わってきます。
山行時間に余裕を持たせることが肝要です。
自分の力を知る
何度かハイキングをやるようになったら、是非ガイドブックの時間と実際に要した時間を比べてみるようにしましょう。
平均的なタイムを記載してあるガイドブックで、自分の力が平均と比べてどうなのか確認でき、登山計画の時間配分が可能となります。
でも、ガイドブックに記載されているタイムと比べて自分は余計に時間がかかったので、自分は平均以下なんだと力を落とす必要はまったくありません。
あくまで自分のペースで歩くことが大事です。
この比較は、今後の計画時の全体の時間配分やコースの選定に使えばいいのです。あせりは禁物です。