高尾山の雑学・豆知識

高尾の森づくりの会

 高尾山(599メートル)の裏側で、50年かけて7万5千本の広葉樹を植える壮大なプロジェクトが進行中です。このプロジェクトは、林野庁が進める「市民参加の森づくり」構想に基づいて、社団法人日本山岳会が中心となって2001年につくった「高尾の森づくりの会」が母体になって進める森づくりのボランティア活動です。

山と渓谷社/森づくりテキストブック【10P13apr10】

 約300人いる会員の多くは定年を迎えたサラリーマンたちで、毎月第2土曜日に定例の作業があり、毎回70~100人程度の参加で行われ、参加者の年間合計は延べ1,800人だそうです。広葉樹を植樹し、針葉樹との混交林の造成や、人工林の間伐、登山道や歩道の整備、などの森林整備を主に行っています。

 場所は、高尾山の北西3~5キロの区域に広がる「高尾小下沢国有林」で、日本山岳会が東京神奈川森林管理署と森づくりに関する基本協定に基づき、森林管理署のバックアップを得ながら作業を進めています。

  一見、緑深い裏高尾の森ですが、9割が戦後植えられたスギやヒノキで、多くが十分な手入れをされていません。このように日本の森は、戦後、復興需要から大々的に自然林の伐採が行われ、高尾でも見受けられるように広葉樹よりはるかに成長が早いスギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹が植林された人工林になっています。
 しかし、その後の高度成長期の需要を満たすためとられた木材輸入の完全自由化政策は材木価格の大幅下落をもたらし、コスト競争力を失った日本の林業は衰退の一途をたどりました。手を入れれば入れるほど赤字が上積みされるため、全国の人工林の80%は手入れができないままに放置されているのです。
 そして、その結果、木が密集して日光が届かないため下草が生えず、地味が痩せて山を荒廃させてしまいます。

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森は地球のたからもの(3)

 会では、間伐で良質な木材が採れる環境を整えるとともに、山の土壌や保水力を改善させるために植樹で針葉樹と広葉樹の割合を半々にすることを目指しています。
 資金的には、社団法人国土緑化推進機構の緑の募金交付金制度から支援を受けています。京王電鉄やローソンが協賛しているほか、法人会員も14社を数え、企業の支援も広がっています。


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