高尾山の雑学・豆知識

高尾梅郷 梅まつり散策ガイド


 高尾山は、今や世界的な知名度を誇る観光地です。
 今回ご紹介する裏高尾(町)は、その高尾山の北側に位置しています。
 連なる山々に挟まれた谷筋に旧甲州街道と小仏川、JR中央線、中央自動車道などが寄り添うように東西に延び、旧街道沿いに家々が点在する閑静な佇まいを呈しています。

 早春、この裏高尾では、小仏峠付近までの旧甲州街道沿いの梅林を中心に、約10,000本の紅白の梅が咲き誇ります。
 これにあわせ毎年3月第二土曜と日曜に「高尾梅郷梅まつり」が開催されます。紅白の梅の花を愛でながらさわやかな梅の香りの中を歩けば、ひと足早い春の訪れが感じられます。

1.会場

 会場は、旧甲州街道と小仏川に沿って、点在している梅林と梅の木を総称して「高尾梅郷」と呼ばれているところです。
 甲州街道の高尾駅と高尾山口駅のちょうど中間あたりに小仏川の遊歩道があります。

 川沿いに咲くこの「遊歩道梅林」をスタート地点として、関所梅林、天神梅林、荒井梅林、湯の花梅林、するさし梅林、木下沢梅林、一番奥の「小仏梅林」まで点在する8つの梅林を楽しむことができます。

 すべての梅林をめぐるには片道1時間半から2時間ほどかかるので、歩きやすいシューズで出かけてください。
 2時間というと随分長いように思われますが、途中民家の軒先にも梅の木が植えられ、道沿いに赤いミツマタや黄色いスイセンなどが咲き誇り、山里らしい素敵な光景が展開しますので、早春のゆったりハイキングには最高のシチュエーション、きっと足の疲れは吹っ飛んでしまいます。



2.歴史

 「高尾梅郷梅まつり実行委員会」は、地元の5町会 〔西浅川・駒木野・荒井・摺指(するさし)・小仏〕 で組織され、この町会の人たちが協力して、梅まつり の企画から運営まで全てを行っています。

 昭和37年に地元の方の発案で周辺に点在する梅を活かして植樹が始まり、昭和39年には地元の5町が八王子市と協力して、視察や研修を行い、自ら梅の木の剪定や植樹を行って今の高尾梅郷はできあがり、現在その数は約1万本と言われています。

 もともとこの地域は梅栽培が適地といわれ盛んだったようで、「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」の和歌で知られる菅原道真の銅像が浅川町(JR高尾駅そば)にあった縁から、たくさんの梅が植えられたとも言われているようです。

3.イベント内容

 それぞれの梅林に甘酒やおでんなどの屋台が並ぶほか、踊りや野だて、琴の演奏、写真コンテストの作品展示などの催しも実施されます。
 梅の加工品、新鮮な野菜や花、雑貨など多彩な露店販売も行われます。
 3月は少し肌寒いので体を温める甘酒やおでんは最高ですね。

 イベントのなかでも人気なのは「観梅記念スタンプハイク」。
 4カ所の梅林にスタンプ台を設置し、それぞれでスタンプを集めると景品と交換できます。
 高尾山は自然が豊かで都心からの交通の便もいいので、観光客で一年中賑わっていますが、この梅祭り会場だけでも、開始当初は1万人ほどの来場だったがここ数年は3万人を超えるほどになっているそうです。

 それでも高尾梅郷梅まつりは期間が2日間ですし、会場が点在し、敷地も広いので、ごったがえすというほどの混みようではありません。
 また梅の花の開花時期は長いので、梅まつりが終わってものんびり梅を眺めることができます。あえて、日を変えて訪れる方も多いようです。

4.おすすめスポット(木下沢梅林)

 1万本を超える梅が美しい早春の景色を見せてくれる高尾梅郷ですが、その中でも最も規模の大きい梅林として人気を集めるのが「木下沢梅林」です。

 裏高尾の奥の位置する斜面に1400本もの梅が咲き誇ります。白梅が多いのですが、その中に紅梅も混じり、美しい色彩のコントラストを見せてくれます。早春の青空の下、山々の緑を背景に白梅と紅梅が日差しを浴びて輝く景観は見事なものです。

 この「木下沢梅林」は、普段は梅の木の保護や園内整備のため、園内に入ることができませんが、「高尾梅郷梅まつり」の時期に合わせて園内が特別開放されるのです。
 特別開放の日程と時間は八王子市の公式サイトで確認してください。

 園内には、紅白の梅の間を縫うようにゆるやかな坂や階段のあるトレッキングコース(遊歩道)が整備されています。
 最も高いところには広場も設けられており、シートを広げてお花見を楽しむグループや多くの家族連れの姿が見受けられます。
 梅林の中のトレッキングコースをまわり梅の花を愛でたり、梅林の外から梅林の景観を眺めたり、ゆっくりと歩きながら春を満喫できるのも梅まつり期間ならでは楽しみといえるでしょう。
 なお、コースの脇にはベンチが用意されているので、休憩を取りつつゆっくりとトレッキングすることも可能です。
 園内は30分ほどあれば周回できますが、整備されているとはいっても高低のある山道ですので歩きやすい服装や靴を履いて行くのをおすすめします。

 「木下沢梅林」は国道20号(甲州街道)と都道516号(旧甲州街道)との分岐点である「西浅川」交差点から3.5kmほど西に入り込んだところに位置しています(高尾駅からは4km超)。
 歩くと少し距離がありますので行きは「木下沢梅林」まで観梅を楽しみながら歩き、帰路はバスを利用する人も多いようです。
 なお、開園は10:00から16:00なので、高尾登山帰りに寄ろうと考えている方は、時間に注意してください。
 また、旧甲州街道は、ほぼ小仏川に沿っています。小仏川は山間の渓流を思わせる清流です。「高尾梅郷」を訪ねたら小仏川の景観も楽しんでおきましょう。

5.アクセス

 高尾梅郷へ電車利用の場合は、JR高尾駅から徒歩15分、京王線高尾山口駅から徒歩10分で遊歩道梅林へ到着します。
 または、JR高尾駅北口から「小仏」行きバスに乗車後、「小名路」で下車すると「遊歩道梅林」がそばです。
 さらに、「駒木野」で下車をすると関所梅林、「荒井」で下車すると「天神梅林」、「蛇滝口」で下車すると「湯の花梅林」、「摺指」で下車すると「するさし梅林」、「日影」もしくは「大下」で下車すると「木下沢梅林」が近いです。
 梅まつりの開催に合わせて、通常運行されている高尾駅から小仏の間を走る路線バスも増発されて運行されますので、これらをうまく活用すると効率的です。

 なお、梅まつり会場周辺にコインパーキング等はありませんので、公共交通機関をご利用ください。
 高尾梅郷梅まつりの期間は木下沢梅林に40台ほど止められる臨時駐車場があります。どうしても車を使いたいという人は、京王高尾山口駅または、JR高尾駅近辺のコインパーキングに駐車して、会場までは歩くということになりますので、実質的に公共交通機関を使うのと変わらなくなります。

6.ご注意を

花粉症対策を
 高尾山は杉のお山でもあります。
 この時期に山々から飛んで来る花粉の量は半端無く、アレルギーに悩まされる住民も数多くいます。
 マスクが手放せない方にとっては、梅の花のほのかの香りまでは楽しめないのがなんとも残念なのですが、視覚で楽しんでください。

<トイレが少ない>
 高尾梅郷の梅まつり会場にはトイレが少ないです。
 どこの会場も少ないトイレに列ができているので、駅や飲食店などでトイレを済ませておくことをおすすめします。
 特に女性は大変そうです。


梅の見頃時期:2月下旬~3月上旬
梅まつりの開催期間: 例年3月第二土曜と日曜に開催
開催時間:09:00~16:00
住所:東京都八王子市裏高尾町
TEL:080-6758-1187/高尾梅郷梅まつり実行委員会


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